【夜勤はすべてがおかしくなる理由5選】看護師が解説!知らないと後悔する!

夜勤はすべてがおかしくなる

夜勤をすると心と体に様々な変化がおこります。

太りやすくなり、病気になるのでは?と心配になる人も多いのではないでしょうか?

実際に夜勤には重大な病気のリスクがあることも報告もされています。

人間関係にも変化をきたし、人生終了と感じてしまう人も少なくありません。

筆者も看護師として働いていた時は夜勤が嫌でした。出勤途中に夜間工事をしている人、コンビニで働く店員さんを見て「夜勤をしているのは自分だけじゃない」と励まされて頑張れた記憶があります。

このページでは医学的に信頼があるサイトの情報を基に「 夜勤はすべてがおかしくなる」と言われる理由を説明します。

ここを読んで少しでも疑問が解消され、良い方向にすすむきっかけになれば嬉しいです。

知らないと後悔する!夜勤はすべてがおかしくなる理由

大きな要因は次の通りです。

  • 人間関係が悪化するリスク
  • 夜勤を続けると病気になるリスク
  • 心血管疾患・糖尿病になるリスク
  • うつ病や不安障害になるリスク
  • 発がん性のリスク

上記以外にも夜勤によって心身に様々な変化がみられるようになります。

まずは心身にどのような変化があり、それがどう「夜勤はすべてがおかしくなる」ことに関係するか順を追ってみてきましょう。




夜勤による心と体の変化

夜勤をすると主に以下のような症状が見られます。

  •  睡眠障害(眠れない、寝つきが悪い、途中で目が覚めるなど)
  •  食欲が増して太りやすくなる
  •  疲れやすい
  •  イライラが多くなった
  •  家族や友人と時間が合わず、生活が楽しめない
  •  やる気が出てこない

生物には体内時計があり、地球の自転に合わせた周期で体の基本的な働きが行われます。

こうした約24時間周期のものを「サーカディアンリズム」と言います。

サーカディアンリズムの説明

引用:日本看護協会「夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」15頁

夜勤をすると「サーカディアンリズム」が乱れ、生命活動に重要な体温調節やホルモン分泌に影響します。

実際におこる症状について見ていきましょう。

睡眠障害がおこる

睡眠に関係するホルモンはメラトニンです。メラトニンはセロトニンを材料とし、夜に分泌されるため、私たちは自然と夜に眠くなります。

昼間はメラトニンの分泌がほぼないため、日中の睡眠は質が悪くなってしまうのです。

また、日中は体温が高いため、なかなか寝付けず深く眠れません。

交代勤務のために起こる症状は「交代勤務睡眠障害」と言われ、疲れが取れにくい、夜勤中の作業能力の低下などが挙げられます。

参考:厚生労働省 交代勤務睡眠障害 交代勤務睡眠障害 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

代謝が悪くなり、太りやすくなる  

睡眠中には成長ホルモンが分泌されますが、睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が少なくなり、細胞の修復や新陳代謝に影響します。新陳代謝がうまくいかないと基礎代謝量が減り、太りやすくなります。

脂肪の蓄積に関係するBMAL1(ビーマルワン)というたんぱく質は22時~深夜2時頃が一番活動的です。BMAL1(ビーマルワン)が体の中に多くある時間帯は脂肪をため込みやすいと言えます。

夜に食べると太る理由に納得できますよね。

夜勤をすると太りやすくなる理由は他にもあります。

  •  睡眠不足により食欲を抑えるホルモン(レプチン)が減少し、食欲を高めるホルモン(グレリン)の分泌が亢進した結果、食べ過ぎてしまう。
  •  不規則な生活からコンビニなどで手軽に食事を済ませる傾向があり、カロリーオーバーにつながる。

自律神経が乱れる

自律神経は交感神経と副交感神経に分けられ、全身のあらゆる部位に分布しています。

交感神経は活動するときに働き、副交感神経は休息するときに働くため、その作用からアクセルとブレーキに例えられることが多いです。

夜勤でストレスを感じる、不規則な生活を送るなどによりアクセルとブレーキの調整ができなくなります。

自律神経が乱れる症状の一部を理由とともにご紹介します。

  •  便通異常:ストレスで交感神経が優位になると腸の蠕動(ぜんどう)運動が抑えられ便秘になり、副交感神経が優位になると腸の動きが活発になり下痢などをおこす。
  •  頭痛・肩こり:交感神経が優位になると血管が収縮して血流が悪くなる。
  •  肌荒れ:肌の生まれ変わりであるターンオーバーが乱れ、肌バリア機能が低下。
  •  免疫力の低下:免疫細胞に影響し、病気にかかりやすくなる。
  •  精神症状:交感神経が過剰に働く、副交感神経がうまく働かないといった両者のバランスの乱れからイライラする、やる気が出ないなどの精神症状がおこる。

夜勤による心と体の変化を見てきましたが、いかがでしょうか?

何かかしら身に覚えがある症状があったかと思います。

続いて、夜勤によりどのようなリスクがあるか見ていきましょう。




人間関係が悪化するリスク

家族やパートナー、友人などと生活時間が合わず、行き違いもおこります。

コミュニケーション不足により、孤独感を感じることもあるでしょう。

家族やパートナーは人生でもっとも重要な一つ、その関係性が悪化する影響は計り知れないですよね。

夜勤を続けると病気になるリスクがある

夜勤をすると夜に分泌されるホルモンに影響し、病気になるリスクがあります。

また、睡眠不足や肥満などから身体的な病気につながる場合や、うつ病や不安障害などの精神的な病気になる可能性もあります。

具体的にどのような病気リスクがあるのか信頼できるサイトから得られる情報を紹介します。

心血管疾患・糖尿病になるリスク

仕事中や緊張状態、ストレスを感じている時に交感神経が優位な状態になります。

この交感神経が優位な状態が続くと心拍数が増加し、心臓に負担がかかってしまうのです。

結果、睡眠障害により心筋梗塞や狭心症など心血管疾患になりやすく※1代謝も変化し、糖尿病になるリスクがあると言われています。※2

※1厚生労働省「睡眠と生活習慣病との深い関係」
睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

※2糖尿病ネットワーク「夜勤シフトは睡眠障害リスクを高める 糖尿病リスクも上昇」
https://dm-net.co.jp/calendar/2015/023558.php

うつ病や不安障害になるリスク

うつ病の発生メカニズムや不安障害の原因などは解明されていません。

うつ病は脳内の伝達物質で精神を安定させる「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが減るためと考えられています。

ホルモン分泌への影響や、自律神経のバランスの乱れが続くとうつ病や不安障害になる可能性があります。

発がん性のリスク

国際がん研究機関によると、交代勤務はがんのリスクであると指摘されています。※3

夜勤中に光を浴びると夜に分泌されるメラトニンが抑制され、抗酸化作用や生体リズムの調整機能などが働かず、さまざまなホルモンに影響します。

リスクが高いと言われるものが男性は前立腺がん、女性は乳がんです。

※3参考:「日本医療労働組合連合会 夜勤規則Q&A」4頁 

 




健康を保つための対処法

「夜勤はすべてがおかしくなる」と言われる理由を見てきましたが、すぐに夜勤を辞めることが出来ない人の方が殆どですよね。

ですので、日頃から健康を保てるようなセルフケアについてご紹介します。

※症状が悪化する場合は専門医に頼ることも大切です。

睡眠時間の確保

時間ではなく、質の良い睡眠を取ることが大切です。場面別に見るポイントをご紹介します。

≪夜勤明け≫

良い睡眠のためには日光を遮断するのがポイントです。帰宅までの経路はサングラスや帽子などを使用すると入眠の準備になります。

日中の睡眠時には遮光カーテンやアイマスク、耳栓などを使用するのもおすすめです。

ルームフレグランスやスプレーなどを使用し、心地よい香りに包まれてから眠るのもいいでしょう。

寝だめはせず、2時間程度の睡眠が効果的と言われています。

≪夜勤中≫

長時間の夜勤には仮眠が大切で、夜間に分泌されるメラトニンの作用(抗酸化作用や抗腫瘍作用)に期待ができます。※4

仮眠は2時間程度が望ましいですが、10分程度でも効果があると言われています※5

疲労が回復できれば夜勤明けの活動もスムーズとなり、生活の満足感につながるでしょう。

勤務中にどうしても眠い場合

カフェイン(お茶など)の摂取は眠気対策になります。

高カカオチョコレートにもカフェインが多く含まれていますが、脂質が多いため食べ過ぎには注意してくださいね。

エナジードリンクは多飲による健康被害が報告されており、カフェインの過剰摂取に注意が必要です。※6

ツボ押しやストレッチなども効果的で、顔の表情筋を動かすと小顔効果も得られますよ。

また、歯磨きにより歯茎が刺激されると眠りを促すホルモンであるメラトニンの分泌が減り、眠気改善に効果があると言われています。

※4日本看護協会「夜勤中の仮眠を取ろう」

※5日本看護協会「夜勤中の仮眠のすすめ」 11頁

※6農林水産省「カフェインの過剰摂取について」

栄養管理

消化に良く、脂質の少ないものがおすすめです。

炭水化物はエネルギーになるため摂取したい栄養素で、おにぎりならツナや鮭、サンドイッチなら卵やハムなどたんぱく質も一緒に摂れるものがいいでしょう。

「幸せホルモン」セロトニンの活性化にはトリプトファンとビタミンB6が必要です。

  •  トリプトファン:体内で合成できない必須アミノ酸のひとつ。過剰摂取は肝臓に負担がかかる。大豆製品、乳製品、ナッツ類、バナナなどに含まれる。
  •  ビタミンB6:冷凍食品や加工食品では減少するため新鮮な状態で摂取する方がよい。カツオやマグロなどの青魚、肉類、さつまいもや玄米などに含まれる。

避けた方がいい食事は揚げ物や辛いもの、スナック菓子などです。

炭酸飲料は爽快感が得られますが、胃腸に負担がかかるため過度な摂取は避けたほうが良いです。

とはいえ、食事制限でストレスが加わると本末転倒。体調をみながら自身の疲労回復につながるものを摂取してくださいね。

自律神経を整える

自律神経を整えるには交感神経(アクセル)を休め、副交感神経(ブレーキ)が優位になるよう心がけてください。

深呼吸をする、入浴、ウォーキングなど体が休息できるような行動を取り入れましょう。音楽を聴く、瞑想をするなどリラックスできる行動は人によって違います。心を安定させることが大切です。

お気に入りの動画を寝る前にスマートフォンで見るとブル―ライトの光や大量の情報が入ってくるため睡眠に影響し、休息につながらない場合もあります。

変化を感じたら医師に相談

セルフケアを行っていても体調に異変を感じたら自己判断せずに内科や循環器科、心療内科などを受診しましょう。

睡眠の悩みは睡眠外来で専門的な治療が受けられます。

施設によって異なりますが、薬物療法だけでなく光療法、認知行動療法などがあります。

職場で相談

夜勤がつらい場合は、日勤のみに変更してもらう、夜勤中の仮眠を検討してもらうなど職場で相談してみましょう。

企業に在籍する産業医や産業保健師、産業看護師などは職員の健康管理をサポートする役割があります。社内の相談窓口などを活用してくださいね。

勤務体制の変更ができない場合は、いつまで夜勤を続けるかゴールを決めることも心の安定につながります。

体調を崩して生活に支障をきたす場合は転職も考えましょう。

夜勤が合う人

夜勤をすると心と体に変化がおこりますが、メリットもあります。

自分自身が納得のいく働き方を選択してください。

夜勤のメリット

夜勤は法律で割増賃金が適用されるため、高収入が得られます。

日中の時間を有効活用でき、スキマ時間に副業を行うことも可能です。

職場によりますが、夜間の業務量が日中よりも楽な場合や、大勢の人と関わらなくても良いというメリットがあります。

夜勤が向いている人

睡眠障害がなく、しっかりと休養できる人には夜勤が向いています。

もともと夜型で遅くまで起きているのが苦痛でない人や、体調の自己管理ができる人は夜勤を続けられるでしょう。

まとめ

夜勤をすると心と体に変化がおこります。

病気のリスクもありますが、高収入を得られ、日中の時間が有効に使えるなどメリットもあります。

体調管理をし、困った時は一人で悩まず周囲の人や医師に相談してください。

心と体が少しでも安定するような行動を取り入れてみてくださいね。